[医療機関向け] [2023.10.01-2024.03.31] 新型コロナウイルス感染症の算定項目等の変更

本稿は過去分. 最新版は以下

 

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対象 - 無床診療所

本稿は無床診療所を念頭に記載している。
入院診療や疫学調査を行う医療機関(定点把握機関)については考慮していない。
訪問診療や電話等による診療、罹患後症状のマネジメントについても考慮していない。

背景 - 政策変更

厚生労働省は「感染拡大への対応や医療提供体制の状況等の検証の結果に基づき、必要な見直しを行う(*)」そうである。これに伴い一部算定項目の変更(減算・廃止)がある。情報が散乱していてわかりづらかったのでまとめた。
(*) 新型コロナウイルス感染症に関する10月以降の見直し等について, 厚生労働省, 令和5年9月15日

変更点まとめ --- ネーミングセンスがもはや嫌がらせレベル

☆ 廃止となる「特定疾患療養管理料(特例)」と、全然別の要件で算定できる新規設置の「特定疾患療養管理料(特例)」が存在するwww そしてこれらは両者とも147点www

(1) 軽症陽性例に対して感染拡大予防策や重症化時の対応を指導した際に、「113045550 特定疾患療養管理料 (100床未満・療養指導)(特例) 147点」を算定してきたが、これは消失となる。
(2) 受入患者を限定しない外来対応医療機関において必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合には、「113045350 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点」を算定してきた。これは、147点に減点となる。そして、この147点はなんと「113046250 特定疾患療養管理料(100床未満の病院)(特例)(10月以降)」により算定する。「混乱を避けるために、147点の院内トリアージ実施料のコードを新設しよう」とは考えなかったようである。
(3) 陽性例に対して入院調整を行った場合、「113045850 救急医療管理加算1(診療報酬上臨時的取扱)(COV・外来診療) 950点」を算定してきたが、100点へ減点となる。これは、「113046350 療養情報提供加算(特例)(10月以降)」により算定する。

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A. 算定項目

当院における施設加算を含んだ例を示す。

陽性例

2023.05.08-09.30 (入院調整無し・抗ウイルス薬投与無し)

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113045350 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点 <要件追加あり/期限あり> ---(※2)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
160062110 免疫学的検査判断料 144点
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点
113045550 特定疾患療養管理料 (100床未満・療養指導)(特例) 147点 ---(※1)

2023.05.08-09.30 (入院調整あり・抗ウイルス薬投与あり)

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113045350 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点 <要件追加あり/期限あり> ---(※2)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
160062110 免疫学的検査判断料 144点
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点
113045850 救急医療管理加算1(診療報酬上臨時的取扱)(COV・外来診療) 950点 ---(※3)
180016110 診療情報提供料(1) 250点 ---(※3)
(公費 - コロナ軽症)
新型コロナ治療薬(経口薬(ラゲブリオ・パキロビッド、ゾコーバ)、点滴薬(ベクルリー)、中和抗体薬(ロナプリーブ、ゼビュディ、エバジェルド)を処方する場合はこちらで記載、外来処方箋に公費を反映させる。

2023.10.01- (入院調整あり(*3)・抗ウイルス薬投与あり(*4) --- 無しの場合はそれぞれ*3, *4 を削除)

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113046250 特定疾患療養管理料(100床未満の病院)(特例)(10月以降) ---(※2)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
160062110 免疫学的検査判断料 144点
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点
113046350 療養情報提供加算(特例)(10月以降) 100点 ---(※3)
180016110 診療情報提供料(1) 250点 ---(※3)
(※1 は消失)
(公費 - コロナ軽症)
新型コロナ治療薬(経口薬(ラゲブリオ・パキロビッド、ゾコーバ)、点滴薬(ベクルリー)、中和抗体薬(ロナプリーブ、ゼビュディ、エバジェルド)を処方する場合はこちらで記載、外来処方箋に公費を反映させる。---(※4)

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必要な病名

8850640 コロナウイルス感染症2019・ウイルス同定 (主病名。陽性例であるから。また(旧)院内トリアージ実施料/(新設)特定疾患療養管理料への病名でもある)
8850104 COVID-19 の「疑い」 (抗原検査に対して / 同日中に中止として構わない)
4871001 インフルエンザ の「疑い」(抗原検査に対して / 同日中に中止として構わない)
※ この他、投薬に対する病名が必要

なお、確定病名は上記で正しい

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解説

(*1) 軽症陽性例への加算「特定疾患療養管理料 (100床未満・療養指導)(特例)」 147点 --- 消失

家庭内での感染防止策や重症化した場合の対応策を指導し、指導の要点をカルテに記載した場合に算定可能であった。(なお、性格上、※3 救急医療管理加算1とは、排他算定であった。)
今回、これは廃止となった。法令上の根拠としては、下記9月15日付けの事務連絡による、3月31日付け事務連絡の「廃止」

「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」(令和5年3月31日厚生労働省保険局医療課事務連絡)は、令和5年9月30日をもって廃止し、令和5年10月以降の取扱いは本事務連絡による。

事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年9月15日

事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年3月31日
事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年9月15日

(*2) 院内トリアージ実施料 -> 「特定疾患療養管理料(100床未満の病院)(特例)(10月以降)」---減点

「受入患者を限定しない外来対応医療機関」等の条件を満たす場合に300点を算定可能であった。今回、147点へ減点となる。そしてこれは、なんと「113046250 特定疾患療養管理料(100床未満の病院)(特例)(10月以降)」により算定する。「混乱を避けるために、147点の院内トリアージ実施料のコードを新設しよう」とは考えなかったようである。
法令上の根拠としては、(*1)に示す特例の廃止+下記による算定項目の新設

【医科診療報酬点数表に関する特例】 1.外来における対応に係る特例 (1)疑い患者の診療に係る特例について ① 受入患者を限定しない外来対応医療機関(「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」(令和5年3月17日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)の2.(3)において示す発熱患者等の診療に対応する医療機関をいう。以下同じ。)であって、その旨を公表しているものにおいて、新型コロナウイルス感染症患者又は新型コロナウイルス感染症であることが疑われる者(以下「疑い患者」という。)に対し、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合には、B000の2に規定する「許可病床数が100床未満の病院の場合」の点数(147点)を算定できる。

事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年9月15日

なお、要件に該当しない場合は、50点の別項目が算定できる可能性あり。
事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年9月15日

(*3) 救急医療管理加算1(診療報酬上臨時的取扱)(COV・外来診療) -> 「療養情報提供加算(特例)(10月以降)」---減点

入院調整を行った場合に950点を算定可能であった。今回、100点へ減点となる。
法令上の根拠としては、(*1)に示す特例の廃止+下記による算定項目の新設

【医科診療報酬点数表に関する特例】 8.入院調整に係る特例 新型コロナウイルス感染症患者について、入院調整を行った上で、入院先の医療機関に対し診療情報を示す文書を添えて患者の紹介を行い、診療情報提供料(Ⅰ)を算定する場合、B009の注17に規定する療養情報提供加算の100分の200に相当する点数(100点)を算定できる。

事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年9月15日

依然として、性格上、診療情報提供料と併算定することになる。
事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年9月15日

(*4) 公費での処方箋の作成

「新型コロナウイルス感染症の治療薬に要した費用を補助する公費」は依然として存在する。従って、新型コロナ治療薬(経口薬(ラゲブリオ・パキロビッド、ゾコーバ)、点滴薬(ベクルリー)、中和抗体薬(ロナプリーブ、ゼビュディ、エバジェルド)を処方する場合は処方箋を分けて記載、薬局側に公費対象であることを明示する。
なお、この場合においても、他に NSAIDs 等を処方しているであろうから、処方箋料・一般名処方加算については通常保険で算定すべきである。
公費番号・受給者負担番号については都道府県毎に下記に記載されている。
保医発0320第1号 「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う公費支援の費用の請求に関する診療報酬明細書の記載等について」, 厚生労働省保険局医療課長, 令和5年3月20日
<なお、抗ウイルス薬について一部自己負担を課す(3000-9000円)改訂が行われるが、現時点において上記公費番号・受給者負担番号が変更される旨の通知はない. 2023.09.26>
新型コロナウイルス感染症の治療薬について令和5年10月から窓口での負担が生じます, 令和5年9月, 厚生労働省

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陰性例

2023.05.08 - 2023.09.30

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113045350 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点 <要件追加あり/期限あり> ---(※2)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
160062110 免疫学的検査判断料 144点
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点

2023.10.01-

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113046250 特定疾患療養管理料(100床未満の病院)(特例)(10月以降) ---(※2)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
160062110 免疫学的検査判断料 144点
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点

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必要な病名

8850641 コロナウイルス感染症2019・ウイルス未同定 (陰性例であるから。また(旧)院内トリアージ実施料/(新設)特定疾患療養管理料への病名でもある)
8850104 COVID-19 の「疑い」 (抗原検査に対して / 同日中に中止として構わない)
4871001 インフルエンザ の「疑い」(抗原検査に対して / 同日中に中止として構わない)
※ 従って、実態に応じて主病名となる病名は必要。急性上気道炎やインフルエンザA型など。
※ この他、投薬に対する病名が必要

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解説

(*2) 院内トリアージ実施料 -> 「特定疾患療養管理料(100床未満の病院)(特例)(10月以降)」---減点

「受入患者を限定しない外来対応医療機関」等の条件を満たす場合に300点を算定可能であった。今回、147点へ減点となる。そしてこれは、なんと「113046250 特定疾患療養管理料(100床未満の病院)(特例)(10月以降)」により算定する。「混乱を避けるために、147点の院内トリアージ実施料のコードを新設しよう」とは考えなかったようである。
法令上の根拠としては、陽性例(*1)に示す特例の廃止+下記による算定項目の新設

【医科診療報酬点数表に関する特例】 1.外来における対応に係る特例 (1)疑い患者の診療に係る特例について ① 受入患者を限定しない外来対応医療機関(「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」(令和5年3月17日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)の2.(3)において示す発熱患者等の診療に対応する医療機関をいう。以下同じ。)であって、その旨を公表しているものにおいて、新型コロナウイルス感染症患者又は新型コロナウイルス感染症であることが疑われる者(以下「疑い患者」という。)に対し、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合には、B000の2に規定する「許可病床数が100床未満の病院の場合」の点数(147点)を算定できる。

事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年9月15日

なお、要件に該当しない場合は、50点の別項目が算定できる可能性あり。
事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年9月15日

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B. 患者・旧濃厚接触者への感染拡大予防指導

特定疾患療養管理料(軽症陽性例についての特例)廃止後の指導の必要性

・5類以降に伴い、感染症法に基づく外出自粛要請は終了している。濃厚接触者の指定もなくなっている。感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となっている。
・逆に医療機関側で、外出自粛・家庭内での生活に関して「個人の判断」が適切に行われるための情報提供を行う必要があることから、軽症陽性者への新規算定項目「特定疾患療養管理料 (100床未満・療養指導)(特例)」が存在してきた。ところが、今回これは廃止となった。従って、指導内容をカルテ記載する義務は無くなった。

<次行は私見>
・ただし、感染拡大防止の観点から、お金がもらえなくても上記指導は続けるべきであろう。当院の指導内容を記しておく。

厚生労働省の推奨

学生・生徒・児童・園児

そもそも学校保健安全法施行規則により、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」が出席停止期間

その他

下記厚生労働省の指診は引き続き有効である。指導内容はこれに沿っていれば良い。

・発症日を0日目として5日間は外出を控える。5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ることが推奨
・10日間が経過するまでは、不織布マスクを着用したり、高齢者等ハイリスク者と接触は控える
・同居者が新型コロナウイルス感染症にかかったら、可能であれば部屋を分ける。その上で、外出する場合は、発症者の発症日を0日目として7日目までは発症する可能性があることを考慮。この間は、手洗い等の手指衛生や換気等の基本的感染対策のほか、不織布マスクの着用や高齢者等ハイリスク者と接触を控える等の配慮。

新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について, 厚生労働省

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