[医療機関向け] [2023.05.08-09.30] 新型コロナウイルス感染症の算定項目等の変更

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2023.09.30までは以下

2023.10.01 以降は以下

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対象 - 無床診療所

本稿は無床診療所を念頭に記載している。
入院診療や疫学調査を行う医療機関(定点把握機関)については考慮していない。
訪問診療や電話等による診療、罹患後症状のマネジメントについても考慮していない。

背景 - 感染症法上の位置づけ変更

新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類感染症」へ変更されることに伴い、一部算定項目の変更がある。また、報告/届出義務についても変更がある。情報が散乱していてわかりづらかったのでまとめた。

A. 算定項目

当院における施設加算を含んだ例を示す。

陽性例

2023.04.01以降2023.05.07まで

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113032950 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
(公費 - PCR検査)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点
160062110 免疫学的検査判断料 144点
(公費 - コロナ軽症)
180065850 救急医療管理加算1(診療報酬上臨時的取扱)(COV・外来診療) 950点
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点

2023.05.08以降 (入院調整無し・抗ウイルス薬投与無し)

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113032950 → 113045350 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点 <要件追加あり/期限あり> ---(※1)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点 ---(※2)
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
160062110 免疫学的検査判断料 144点 ---(※2)
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点 ---(※3)
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点 ---(※3)
113045550 特定疾患療養管理料 (100床未満・療養指導)(特例) 147点 ---(※4)

2023.05.08以降 (入院調整あり・抗ウイルス薬投与あり)

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113032950 → 113045350 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点 <要件追加あり/期限あり> ---(※1)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点 ---(※2)
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
160062110 免疫学的検査判断料 144点 ---(※2)
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点 ---(※3)(※6)
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点 ---(※3)(※6)
180065850 救急医療管理加算1(診療報酬上臨時的取扱)(COV・外来診療) 950点 ---(※5)
180016110 診療情報提供料(1) 250点
(公費 - コロナ軽症)
新型コロナ治療薬(経口薬(ラゲブリオ・パキロビッド、ゾコーバ)、点滴薬(ベクルリー)、中和抗体薬(ロナプリーブ、ゼビュディ、エバジェルド)を処方する場合はこちらで記載、外来処方箋に公費を反映させる。---(※6)

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必要な病名

8850640 コロナウイルス感染症2019・ウイルス同定 (主病名。陽性例であるから。また院内トリアージ実施料/特定疾患療養管理料/救急医療管理加算1への病名でもある)
8850104 COVID-19 の「疑い」 (抗原検査に対して / 同日中に中止として構わない)
4871001 インフルエンザ の「疑い」(抗原検査に対して / 同日中に中止として構わない)
※ この他、投薬に対する病名が必要

(2023.08.08 追記)
なお、確定病名は上記で正しい

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解説

(*1) 院内トリアージ実施料
これまで算定してきた医療機関で、「受入患者を限定しない外来対応医療機関」の場合、引き続き算定可能。
なお、要件に該当しない場合は、147点の別項目が算定できる可能性あり。
事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年3月31日
(2023.06.01 追記)
コードを 113032950 としたが、113045350 が正解の可能性が高い。
レセコンが ORCA の場合、前者の有効期限は5/31まで。また、後者が 5/8 から有効。
なお、上記厚労省の通知文書では、コード変更については一言も触れられていない。

(*2) 抗原検査費用と付随する判断料
公費補助の廃止により、一般保険での算定へ移動 (根拠としては下記通知による以前の通知の「廃止」)
保医発0320第1号 「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う公費支援の費用の請求に関する診療報酬明細書の記載等について」, 厚生労働省保険局医療課長, 令和5年3月20日

(*3) 処方箋料・一般名処方加算
公費補助の廃止により、一般保険での算定へ移動 (根拠としては下記通知による以前の通知の「廃止」)
保医発0320第1号 「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う公費支援の費用の請求に関する診療報酬明細書の記載等について」, 厚生労働省保険局医療課長, 令和5年3月20日

(*4) 軽症陽性例への加算「特定疾患療養管理料 (100床未満・療養指導)(特例)」
従来公費にて、救急医療管理加算1として950点を算定していたもの。減額、かつ、公費負担から除外。またしても混乱を招くネーミングではある。
無床診療所でも算定できるが、乳幼児加算や小児加算は併算定不可。
家庭内での感染防止策や重症化した場合の対応策を指導し、指導の要点をカルテに記載する必要がある。
事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年3月31日

(*5) 救急医療管理加算1(診療報酬上臨時的取扱)(COV・外来診療) 950点
従来ほぼすべての陽性例に算定できていたもの。今回より、入院調整を行った場合にのみ算定可能となった。また、公費負担から除外される。
当然診療情報提供料と併算定することになる。
なお、性格上(*4)とは併算定不能。
事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年3月31日

(*6) 公費での処方箋の作成
「新型コロナウイルス感染症の治療薬に要した費用の全額を補助する公費」は依然として存在する。従って、新型コロナ治療薬(経口薬(ラゲブリオ・パキロビッド、ゾコーバ)、点滴薬(ベクルリー)、中和抗体薬(ロナプリーブ、ゼビュディ、エバジェルド)を処方する場合は処方箋を分けて記載、薬局側に公費対象であることを明示する。
なお、この場合においても、他に NSAIDs 等を処方しているであろうから、処方箋料・一般名処方加算については通常保険で算定すべきであろう。
公費番号・受給者負担番号については都道府県毎に下記に記載されている。
保医発0320第1号 「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う公費支援の費用の請求に関する診療報酬明細書の記載等について」, 厚生労働省保険局医療課長, 令和5年3月20日

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陰性例

2023.04.01以降2023.05.07まで

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113032950 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点
(公費 - PCR検査)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点
160062110 免疫学的検査判断料 144点

2023.05.08以降

(通常保険)
111000110 初診料 288点
111013770 機能強化加算(初診) 80点 <当院施設加算>
111015970 医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(初診) 6点 <従来型保険証>
113032950 → 113045350 院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱) 300点 <要件追加あり/期限あり> ---(※1)
160230050 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性) 420点 ---(※2)
160208510 鼻腔・咽頭拭い液採取 25点
160062110 免疫学的検査判断料 144点 ---(※2)
120002910 処方箋料(リフィル以外・その他) 68点 ---(※3)
120005470 一般名処方加算1(処方箋料)(経過措置) 9点 ---(※3)

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必要な病名

8850641 コロナウイルス感染症2019・ウイルス未同定 (陰性例であるから。また院内トリアージ実施料への病名でもある)
8850104 COVID-19 の「疑い」 (抗原検査に対して / 同日中に中止として構わない)
4871001 インフルエンザ の「疑い」(抗原検査に対して / 同日中に中止として構わない)
※ 従って、実態に応じて主病名となる病名は必要。急性上気道炎やインフルエンザA型など。
※ この他、投薬に対する病名が必要

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解説

(*1) 院内トリアージ実施料
これまで算定してきた医療機関で、「受入患者を限定しない外来対応医療機関」の場合、引き続き算定可能。
なお、要件に該当しない場合は、147点の別項目が算定できる可能性あり。
事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」, 厚生労働省保険局医療課, 令和5年3月31日
(2023.06.01 追記)
コードを 113032950 としたが、113045350 が正解の可能性が高い。
レセコンが ORCA の場合、前者の有効期限は5/31まで。また、後者が 5/8 から有効。
なお、上記厚労省の通知文書では、コード変更については一言も触れられていない。

(*2) 抗原検査費用と付随する判断料
公費補助の廃止により、一般保険での算定へ移動 (根拠としては下記通知による以前の通知の「廃止」)
保医発0320第1号 「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う公費支援の費用の請求に関する診療報酬明細書の記載等について」, 厚生労働省保険局医療課長, 令和5年3月20日

(*3) 処方箋料・一般名処方加算
従来より陰性例に対しては公費補助無し。従って変更なし

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B. 患者・旧濃厚接触者への感染拡大予防指導

行政サービスの終了と指導の必要性

・5類以降に伴い、感染症法に基づく外出自粛要請は終了。濃厚接触者の指定もなくなる。感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となる。
・これに伴い、大分県の場合「健康フォローアップセンター」は終了。リーフレットの配布は終了。
・逆に医療機関側で、外出自粛・家庭内での生活に関して「個人の判断」が適切に行われるための情報提供を行う必要がある。
・軽症陽性者への新規算定項目「特定疾患療養管理料 (100床未満・療養指導)(特例)」については、上記指導・情報提供に係る医師の技術料と捉えるべきである。

厚生労働省の推奨

学生・生徒・児童・園児

そもそも学校保健安全法施行規則により、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」が出席停止期間

その他

・発症日を0日目として5日間は外出を控える。5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ることが推奨
・10日間が経過するまでは、不織布マスクを着用したり、高齢者等ハイリスク者と接触は控える
・同居者が新型コロナウイルス感染症にかかったら、可能であれば部屋を分ける。その上で、外出する場合は、発症者の発症日を0日目として7日目までは発症する可能性があることを考慮。この間は、手洗い等の手指衛生や換気等の基本的感染対策のほか、不織布マスクの着用や高齢者等ハイリスク者と接触を控える等の配慮。

新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について, 厚生労働省

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C. 届出義務

感染者の報告は終了

2類相当の際は以下の届出を行ってきた。
・重症化リスクのある者については氏名を含む情報を個別に直ちに
・上記に該当しない陽性者については年代別の総数を日毎に
5類移行に伴い、定点把握を行わないほとんどの医療機関では上記届出義務は終了。

検査数に関する届出「義務」は終了

そもそも抗原検査/PCR検査は都道府県との契約により行ってきた。そして、大分県の場合、日々の検査数の報告は G-MIS への入力により代用できるとされてきた。
本来、5月8日より抗原検査/PCR検査は通常保険で行い公共事業ではなくなるのであるから、都道府県への報告「義務」は消失する。

厚労省からの「要請」により、検査数の G-MIS への入力は継続

上記にもかかわらず、下記引用の厚生労働省からの要請により検査数の報告は継続となる。

少なくとも大分県の場合、G-MIS へ日次報告として「新型コロナウイルス検査実施(検体採取)総人数」に加えて「自院で入院調整を行った件数」を入力すること、そして週次報告として「外来ひっ迫状況」を行うことを新規に求められている。従って、むしろ仕事は増えたかもしれない。

事務連絡 「新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制の状況把握のための医療機関等情報支援システム(G-MIS)への入力等について(協力依頼)」, 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部, 令和5年4月20日

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D. 番外編 モルヌピラビル(ラゲブリオ)の文書による同意書が不要へ

モルヌピラビル(ラゲブリオ)については文書による同意書の取得がなければ処方できなかったが、これが不要となった。
なお念のため、妊婦(可能性例を含む)不可条件については不変。

事務連絡「ラゲブリオカプセルの承認条件の取扱いについて」, 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課/同医薬安全対策課, 令和5年4月24日

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