[医療機関向け] 2024年診療報酬改定 別稿 生活習慣病管理料 (主病にあわせた療養計画書つき)

前提 (本稿の明示)

本稿は下記の「別稿」である。

※ 特定疾患療養管理料/特定疾患処方管理加算は上記へ移動 (2024.06.07)

謝辞とお願い

上記は、サイトのトップページの約10倍のアクセスを集める人気記事となっていました。
多くの方に検索・御利用頂いている結果です。ありがとうございます。

ここで、ひとつ御願いがあります。
本稿記載内容がお役に立ちましたら、google クチコミにて高評価を頂き、当医療機関を応援いただけませんでしょうか。 アクセス数以外にも人の役に立ったことを示す指標を頂けますと、私のやる気アップにつながります。
コメントは空欄でも構いません。宜しくお願い致します。

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なおこれは、「閲覧者に有用なコンテンツは、投稿者(私)にもメリットをもたらしうるのか」という実験的試みでもあります。

対象 - 無床診療所

本稿は無床診療所を念頭に記載している。
入院診療や疫学調査を行う医療機関(定点把握機関)については考慮していない。

処方に関しては院外処方(処方箋料)を念頭に置いている。院内処方(処方料)関連については一切考慮していない。

また、施設加算については各施設の届出状況に応じて算定できないものもあるので、御留意いただきたい。

コードを併記する

厚生労働省の通知を読むだけでは実務には直結しない。コードが併記されていないからである。
在医総管なんて、検索すると50個くらい出てくるし。

本稿ではコードを併記することで、即戦力となる情報を提供したい。

なお、当院のレセコンは ORCA であり、2024.05.30 07:10 時点での最新バージョンのマスタを参照している。
(最終的に .uke ファイルの様式が統一されているわけだから)コード自体はレセコンが変わっても同一のはずである。

記載様式は以下

コード 算定項目 点数 解説(必要時のみ)

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生活習慣病管理料

高血圧症・脂質異常症・糖尿病を主病とする特定疾患療養管理料の移行先最有力候補

(I)にするか、(II)にするか

そもそも、(I)を算定するか、(II)を算定するかについては、「個々の患者の状態等に応じて医療機関において判断されるものである。」(事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その1)」, 令和06年03月28日)

ただし、経営上の観点からは、以下を必ず考えておかなければならない。

医療機関にとって最大の注意点は、生活習慣病管理料(II)を算定してしまうと、実質的に将来にわたって生活習慣病管理料(I)を算定できなくなること、である。

一人の患者について、生活習慣病管理料は、
「生活習慣病管理料(II)を算定した日の属する月から起算して6月以内の期間においては、生活習慣病管理料(I)は算定できない」
「生活習慣病管理料(I)を算定した日の属する月から起算して6月以内の期間においては、生活習慣病管理料(II)は算定できない」

つまり、医療機関内に管理料(I)を算定する患者と管理料(II)を算定する患者は混在して良いが、一人の患者内で管理料(I)(II)が混在する場合には両者の算定間隔が6ヶ月あいていないといけない。

管理料(II)から管理料(I)へ移行する場合を試算してみる。

2024.06 に生活習慣病管理料(II)を算定してしまうと、2024.12以降にしか生活習慣病管理料(I)を算定できない。ただし、2024.08 にも生活習慣病管理料(II)を追加で算定すると、生活習慣病管理料(I)を次回算定できるチャンスは 2025.02 となってしまう。従って、生活習慣病管理料(II)から(I)へ移行するためには、必ず5ヶ月間は管理料(II)の算定チャンスを見送ることになる。
生活習慣病管理料を算定しない期間は代わりに外来管理加算52点を算定することになるが、これは最大(=毎月の来院が見込まれる場合)で、
(333-52)[点]*5[ヶ月間] = 1405[点] の減収。この減収分を新規に算定できるようになった(I)で取り戻すのに必要な期間は主病が糖尿病の場合でも、
1405/(760-333) = 3.3 →(繰り上げ) → 4ヶ月
主病が脂質異常症の場合ではもっと長くなり、
1405/(610-333) = 5.1 →(繰り上げ) → 6ヶ月
<検査が包括されるので実際にはもっと伸びる>

すなわち、「生活習慣病管理料(II)を算定してしまうと、実質的に将来にわたって生活習慣病管理料(I)を算定できなくなる」と言って良い。裏技的な手法として、「管理料(II)を算定したレセを取り下げて、(I)を算定し直して再提出」が考えられる(両者の算定要件が同じなのであるから、行政側はこれを否認できない)が、初回算定時まで遡ることになり、労力に見合わない。

以上から、医療機関側は初回算定時から計画を立てて管理料(I)/(II)を算定していくべきである。

当院は以下の原則とした。
毎月受診する患者は(II)
28日を超えた処方を希望する患者は(I)

念のため、上記方針で運用する場合、(I)を算定する患者は長期処方が可能なほど容態が安定していることになる。すなわち、頻繁な検査も不要である。(I)の弱点である「検査が包括されてしまう」点も最小限に抑えられる。

初回算定日(特定疾患療養管理料と対比)

特定疾患療養管理料は「初診の日から1月以内に行った管理の費用は、初診料に含まれるものとする。」により、初診日から1ヶ月間は算定できなかった。例えば、5/31が初診である場合、7/1以降にしか特定疾患療養管理料を算定できなかった。

生活習慣病管理料は「初診料を算定した日の属する月においては、本管理料は算定しない」である。暦月が異なれば算定できる。5/31が初診であっても、翌日の6/1には生活習慣病管理料を算定できる

ところで、通常は血圧や LDL-chol. や HbA1c の目標値は初診時に設定する(検査結果が出揃わなくても仮目標値は設定できる)ものだと思っていたが、本政策をみると初診時には療養計画を立てなくてよいことになる。むしろ、初診日から暦月が変わっていないと療養計画書は意味をなさない、とさえ言える。(皮肉である。)

届出・施設基準

生活習慣病管理料本体については、届出は不要

本体部分については、2つだけ施設基準が存在。(2)について、医師会はもう無力なのか。。

(1) 生活習慣に関する総合的な治療管理ができる体制 / 治療管理は多職種連携が「望ましい」
--- 曖昧すぎて条件を満たしていない医療機関を見つける方が難しいであろう。

(2) 長期処方 / リフィル
「患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示するとともに、患者から求められた場合に、患者の状態を踏まえて適切に対応すること。」

当院は島根県医師会がアップされた日医作成案を利用させていただく。療養担当規則を引用した皮肉が効いていて素晴らしい。

余談だが、本サイトの下記記事もかなりアクセスを集めた。

(※) 外来データ提出加算を併算定する場合、オンライン診療に伴って生活習慣病管理料を算定する場合、についてはそれぞれ別途届出と施設基準が存在する。

個別の患者に対する算定要件

患者の主病が、高血圧症・脂質異常症・糖尿病のいずれか。
管理料(1) を算定する場合は、算定コード上の主病とレセプト上の主病が一致していなければならない。
療養計画書の作成・説明、患者の同意・署名、写しを診療録に添付 (後述)
療養計画書には必ずしも直近の血液検査のデータを記載しなくて良い。除外基準がある(後述)
治療方針は学会ガイドラインを参照して決めること。
糖尿病患者については眼科・歯科受診を推奨。

※ 特定疾患療養管理料と異なり、「診療録への指導内容の記載」は算定要件ではない。

上記の上で、

月1回に限り算定

ただし、前述のように、

過去6ヶ月以内に管理料(I)を算定していたら、(II)は算定できない。
逆に、(II)を過去6ヶ月以内に算定していたら、(I)は算定できない。

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療養計画書の交付タイミング / 署名の必要性の検証

上記のように算定に必要な施設基準は容易に満たせる。

やはり、最大のハードルは「療養計画書の作成・説明、患者の同意・署名、写しを診療録に添付」

(1) 療養計画書の交付タイミング

[a]初回指導時
---必ず交付が必要
[b]2回目以降の算定時
---交付が基本。4ヶ月に一回は必ず交付。患者や家族から求めがある場合も交付。
---逆に、交付を省略できる要件は、療養計画書の内容に変更がない場合、かつ、前回交付から4ヶ月経っていない、かつ、患者や家族からの求めがない場合。

(2) 患者署名の必要性 --- 実は初回のみでよい。2回目以降は必ず省略できる。

[a] 初回指導時
--- 必ず患者の署名が必要
[b] 2回目以降
--- 論理的には必ず省略が可能

「2回目以降は論理的には患者の署名を必ず省略可能」について解説する。

まず、「(A)一般に人は同意を行うには、事前に同意内容に対する理解が必要」である。「リンゴがどんな物なのかは知らないが、リンゴ1つを10万円で買う契約には同意する」「住居を失った状況というものがどんなものなのかはわからないが、現住している住居を売却する契約には同意する」といった意思表示は確定的に有効ではない。(かつては錯誤無効を主張できた。現在では民法改正により「取り消し得る」)

ここで、そもそも生活習慣病管理料の算定要件は「(前略)---患者に対して療養計画書により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに---(中略)---算定できるもの」である。前述(A)の如く、「一般に人は同意を行うには、事前に同意内容に対する理解が必要」であるから、この文章は「(B)療養計画書の内容を患者が理解して<かつ>同意すれば、生活習慣病管理料を算定できる」と同義である。別の言い方をすると、「(B') 算定の必要条件 = 理解 + 同意」である。

次に、疑義解釈資料によると、「初回については、療養計画書に患者の署名を受けることが必要。ただし、2回目以降については、療養計画書の内容を患者に対して説明した上で、患者が当該内容を十分に理解したことを医師が確認し、その旨を療養計画書に記載した場合については、患者署名を省略して差し支えない。」(事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その1)」, 令和06年03月28日)
つまり、「(C)2回目以降の算定に際しては患者が理解していれば署名を省略可能」である。別の言い方をすると、「(C') 署名省略の必要条件 = 同意」である。

以上から、

(B') 算定の必要条件 = 理解 + 同意
(C') 署名省略の必要条件 = 同意

であり、(C')は(B')に完全に内包されてしまっている。

故に、(B')が満たされているのであれば、(C')は必ず自動的に満たされているので、2回目以降の算定時には患者の署名は「常に」省略可能である。(ただし念のため、療養計画書の「作成・説明・理解の確認・口頭での同意」、診療録記載は必要である)

念のため、逆に「2回目以降に患者の署名が省略できない状況」を「理解」「同意」の文脈で考えてみる。これは算定要件と(C)より、「医師がガイドラインを参照して決めた治療方針を患者が理解していなかったり、その治療方針について患者が反対していたりする状況」である。この状況は、(B)の対偶「生活習慣病管理料を算定できないのであれば、患者が療養計画書の内容を理解していないか、あるいは、同意していない」そのものであるから、そもそも生活習慣病管理料を算定できる要件を満たしていない。むしろ「管理料を議論する以前の問題として、保険診療が成立していない状況」とすら言える。

以上から、繰り返しとなるが、2回目以降の算定時には患者の署名は「常に」省略可能である。

診察室での判断を一応アルゴリズムにしてみると以下。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通知までしっかり読んでみると、実は本件算定のハードルはそれほど高くない。

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以後はパスワード保護

以後のコンテンツはパスワード保護とします。
アクセス3000件 - 評価5件 などという現状もありまして。。

算定項目 (コード付き)
併算定可能項目/併算定不可項目のまとめ
個別の患者に対する算定要件

療養計画書の excel ファイル(主病: 高血圧症/脂質異常症/1型糖尿病/2型糖尿病 にあわせて、4つ作成した。)
療養計画書自動作成のためのアルゴリズム(python, SQL 関連)
当院で療養計画書の excel ファイルを自動作成・患者情報を自動入力している python の code

なお、お試しとして、以下のみ限定公開します。(療養計画書: 脂質異常症用テンプレート)

生活習慣病管理料様式9_初回_dyslipidemia_template

 

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