認知症の病型分類が必要な理由

本投稿のまとめ

認知症を下記のように分類するのは、どれに該当するかによって治療法が異なるため。

・アルツハイマー型認知症
・レビー小体型認知症
・脳血管性認知症

この記事は、固定ページにまとめました。

認知症外来 (もの忘れ外来) では単に「認知症」という診断をしない

認知症外来 (もの忘れ外来)で、単に「認知症」と診断されることはないでしょう。
次のような具体名がついてくるのが通常です。(疾患頻度の多いものを記載します)

・アルツハイマー型認知症
・レビー小体型認知症
・脳血管性認知症

単に「認知症」ではだめなのでしょうか?
結論として、治療上必要だから分類するのですが、これを解説します。

認知症という言葉は総称

認知症という言葉は、果物という言葉と同じく総称です。内部に個々の疾患を含有する概念です。
認知症 (総称) 果物 (総称)
アルツハイマー型認知症 リンゴ
レビー小体型認知症 イチゴ
前頭側頭葉型認知症 バナナ
脳血管性認知症 パイナップル

どのタイプの認知症かによって治療が異なる

認知症と診断された場合、上記表のどのタイプの認知症であるかによって使える薬が変わってきます。なぜなら、
・そもそも脳内にたまってしまう異常物質が違う
・(従って)どのように脳が傷害されるのか、脳のどの部分から傷害されるのかが違う
・(従って)どのような症状が出現してくるのかが違う
からです。
※ 医学用語として、動詞は「傷」害する。傷害された状態が「障」害

例えばアルツハイマー型認知症では、

・アミロイドβ蛋白が蓄積する。その際に脳の神経細胞を破壊してしまう。
・記憶を司る海馬という部分や、言語を司る言語野という部分が傷害されやすい。
・よって記憶障害や言語障害が初発症状となりやすい。

一方で、レビー小体型認知症では、
・α-Synuclein が蓄積する。その際に脳の神経細胞を破壊してしまう。
・大脳新皮質から蓄積するグループ、脳幹から蓄積するグループ、大脳辺縁系から蓄積するグループなどに分かれる。
・従って、幻視が初発症状となったり、パ−キンソン症状が初発症状となったり、注意障害が初発症状となったりする。
となります。

病気が発生する機序や、出現する症状が違うわけですから、当然治療法も異なってきます。
認知症と診断した場合、どのタイプの認知症かを分類することが大切となります。

認知症のタイプ分け = 病型分類

認知症の存在が証明され、かつ「完治可能な認知症」が否定(※)された場合、次に認知症のタイプ分け (= 病名決定)がなされます。赤字のものが狭義の認知症 (変性疾患) と呼ばれます。
※ 別投稿で解説します
臨床症状 (問診による)、画像所見、その他の検査所見を元に下記のように診断されます。
アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症
前頭側頭葉型認知症
・脳血管性認知症
・クロイツフェルトヤコブ病
・他の神経変性疾患による認知症 (進行性核上性麻痺, 大脳皮質基底核症候群, ハンチントン舞踏病)
どのタイプの認知症かによって、治療内容 (使うべき薬, あるいは 使える薬) が大きく異なってきますので、代表的な疾患については別ページで改めて解説することとします。

この記事は、固定ページにまとめました。

認知症全般・軽度認知障害についての記事一覧
tag-dementia-mci-eyecatch

当サイト内の

・認知症全般
・軽度認知障害

についての記事一覧は

おすすめの記事