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麻疹 (はしか) が流行中です
(初回執筆時) (2019.02.22)
本年(2019年)2月に、初めに関西地方で、続いて首都圏で麻疹(はしか)が流行しており、厚生労働省でも注意喚起を行っています。
(2024年3月更新)
再流行により、本稿の需要が増加しています。pick-up します。なお、注意点・方針は変更ありません。
麻疹(はしか)とは
麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
麻疹の症状
感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
麻疹の予防法
麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。
麻疹についてのまとめ
麻疹は上記のように、「同じ部屋にいるだけで感染するほど強い感染力を持ち」「感染するとほぼ100%発症」「先進国であっても1000人に1人の死亡率」「予防接種(=ワクチン)が最も有効な予防法」という病気です。
当院の麻疹(はしか)に対する対応状況
当院では麻疹(はしか)予防の観点から、以下の対応をとっています。
なお、以下の理由により、ワクチン接種の際は抗体検査での抗体陰性を前提とします。
(抗体陰性を前提とする理由) ワクチンは急には作れません。このため、「麻疹流行の報道を見て心配になった人全員に接種する」という運用を行うと、ワクチンが不足します。結果、本来接種が必要な人にワクチンが届かないという事態を招いてしまいます。なお念のため、下記(2)の如く、麻疹の予防目的でも、運用上は麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種することとなります。同じく麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種することとなる「風疹(3日はしか)」については行政機関の運用が当院の方針と全く同じで「抗体陰性を確認してからワクチン接種」です。
(1) 麻疹(はしか)ワクチン接種の必要性の判断 : 抗体価の判定
当院では麻疹(はしか)ウイルスに対する抗体価の判定が可能です。これにより麻疹ウイルスに対して免疫を持っているかどうかを判断し、そもそもワクチンを接種する必要があるかどうかを判断できます。
自由診療の場合、¥5,500 で行っています。
抗体検査については予約は不要です。診療時間内に受診いただけましたら対応します。
(2) ワクチン接種 - MRワクチン (麻疹風疹混合ワクチン)
上記抗体検査の結果が麻疹ウイルス抗体価陰性の場合、ワクチン接種をお勧めします。
ここで本来は、麻疹ウイルスに対するワクチンのみを接種すれば足るのですが、麻疹単独ワクチンは入手が困難であるため、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種することとなります。
ワクチンには、「麻しん風しん混合ワクチン」と「麻しん(風しん)単独ワクチン」がありますが、「麻しん(風しん)単独ワクチン」は製造量が少なく、一般的に使用されないため、「麻しん風しん混合ワクチン」の接種を推奨しています。